こんにちは、色吹です。猫が大好きな児童書作家です。
この記事では、わたしが大好きな脚本術の本を紹介します。
タイトルは「感情」から書く脚本術
ちょっと金額がお高いのと、3㎝もある、ぶ厚い本です。敬遠されている方が多いと思うので、わたしが勉強になったポイントを解説していきます。
わたしは2017年に、本気で小説家になろうと思い、ド素人ながらWEB小説を書き始めました。
『小説家になろう』で書き始め、結果、3年後の、2020年、児童書で書籍化しています。
本の紹介
「感情」から書く脚本術 心を奪って釘づけにする物語の書き方
この本がなければ、わたしは書籍化していなかったと思います。それほどに、小説を面白くするための構成や、ストーリーの流れ、キャラの意味について詳しく書かれています。基本のベースは、ハリウッド映画の仕組みになります。そのためこの本には、ハリウッドの魔法を知りたくない方は読まないでね!というニュアンスのフレーズが冒頭に記されてるぐらい。それぐらい、徹底に分析され、解説されている本です。
つまり、『どうしてハリウッド映画が面白いと思うのか』について、詳しく書いてある本ということになります。
全体的に、何が書いてあるの?
ざっくり書くと、『ハリウッド映画が求めているもの』について書かれています。
なので、小説を書く人だと……
『脚本』と『小説』は違うでしょ? なんで役に立つの?
と、思う方もいるかも。
わたしも最初、わかりませんでした。
ちなみに、わたしが大尊敬する乙一先生が、『三幕構成』を使って小説を書いているのを知っていました。それでも、それがどう役に立つのか、わかっていなかったのです。だって、映画の構成だったので。
先人が成功しているのを真似するのが、上達が早まるポイント
なので今は、みんなやってることは、わたしもやってます!
まず、この本からわたしが学んだことは、『下読みさんの気持ち』です。
下読みさんは、門番さん
公募勢にはわかるかもしれません。
下読みさんの大きな存在が!!!
WEB小説だけだと、なかなか知られないかもしれない『下読みさん』。
ざっくり説明すると、小説の公募は数千もの作品が応募されます。
それをぜーんぶ編集者さんが読むのは骨が折れる作業に……
そこで、読む経験値の高い方々に先に読んでもらい、作品数を絞るんですね。
それが、下読みさんのお仕事な感じ。ざっくり。ちなみに、わたしはしたことがないので、ふんわり情報です。あしからず。
なので、下読みさんを突破できないと、編集者さんにたどり着けないってわけです。
これは脚本の世界でも同じです。
本のなかでは、下読みさんがとても素晴らしい人材であること、そして、時間がない、ということが書かれています。
そうですよね。
だって、いくつもの作品を読まなければならないんですから!
期限までに、評価をしながら、複数の作品を読み込むって、相当な労力です。
ちょっと、想像してみてください……
10万文字を30部ね!
3週間で感想文を書いてね!
極端ですが、どうでしょう?
いやいや、本読むのが好きだから大丈夫!
いやいや、送られてくる10万文字は、本になる前です。
中には読むのにも苦労するような小説もあるかもしれません……
もう少しイメージをして見ると、たくさんの本数をこなす、ということは、時間を有効に使うために、効率的に本を読むだろう、ということです。
この『効率的』は、どこで発揮するか。
冒頭です。
そんなのわかってるよ!
わたしも思っていたのですが、改めて下読みさんのバックボーンが表現されたことで、具体的にイメージがわきました。
本の中では、下読みさんは最大の味方だ。とも書かれています。
蹴るかもしれない人を? と思うかもしれませんが、下読みさんを虜にしたとき、最強の味方になってくれるんです。
こうしたイメージは、WEB小説を書いていると、なかなか浮かんでこないことでした。
誰に向かって書くのか、これは、小説を書く上でとても大切なことです。
どんな人に、どんな風に読んで欲しいのか。 ってところですね。
わたしの実体験ですが、下読みさんを意識してみると、ネタを出すときの判断がしやすいことがありました。
単純なところですが、ネタが、【ありきたり】か【ありきたりでない】かってところです。
たくさん読んでいるだろう下読みさんは、情報通です。今のトレンドだって熟知しています。そういう人が読んでくれるんだ。と思ったときに、ネタを見直すと、気づくことがあります。
完全オリジナルなんて無理なので、似ていてもいいのですが、そこにひねりがあるのか、ないのか。足すのなら、何を足すべきなのか。などなど。相手がいるからこそ見えてくる答えもあります。
コンセプト 〜その物語にしかない魅力
コンセプト、ときいて、ピン!とくる人もいれば、そうでない人もいると思います。
わたしはですが……
コンセプトって、なに? おいしいの?
って感じでした。
この脚本術のなかでは、どんなに文章を美しく表現できても、この『コンセプト』が弱いと、ダメなんだよ。と、繰り返し書かれています。
では、コンセプトをどうみつけるか?
やりかたは簡単!
自作品の紹介文を書いてみてください。(Twitterに載せるぐらいの端的に)
そのなかに、目新しいことが入っているか?
見つけられなければ、どうやればこの物語のなかに組み込めるのかを考えてみてください。と本にあります。
コンセプトは、斬新で、見覚えがあることが大事、と書かれています。
説明が難しいんですけど、例えば、鬼滅の刃。
斬新でも、見覚えのあることが多い作品だったんじゃないかと。
『鬼になった妹を助けるため、兄が鬼殺隊となって、鬼を討伐していく』
ここには、共感性と、鬼殺隊という斬新さと、見覚えのある話、が重なっているんだと思うのですよ。わたしはですけども。
兄が妹のために、生死をかけるのはよく見かけるものです。鬼退治、というのも、日本人では馴染みがありますよね。
そこに“鬼殺隊”や“柱”というポイントが追加されたことで、斬新さがうまれたのかな、と思っております。
なので、鬼滅の刃って、ハイコンセプトの題材だったんだなーと思ったわけです。
ストーリーの主軸(コンセプト)が、物語の良し悪しを決めてしまうということも、この本から学びました。
『上手に書いていれば、小説は読まれるもの』と思っていたわたしの考えが、ガラガラと壊れたのは言うまでもないです……
なぜ面白いと思うのかについて、しっかり向き合っていなかった結果ですけども。
視野の狭さを痛感し、物語への熱量の注ぎ方を確認し、小説家になることの難しさも、理解しました。
『コンセプトのアイデアが、本当に素晴らしいものなのか?』をチェックできる
チェック項目は12個あります。
この項目は、本を読んで欲しいです。理由は簡単。
全部を説明するのが大変だから!
わたしはこの12項目をメモしておき、新しく小説を書くときに使っています。
この項目を守ることで、
- ありきたりな題材が、わたしだけのオリジナルになる
- ストーリー構成の見直しができる
- 考えている物語が、本当に『面白い物語』なのかを確認できる
- キャラクターが作品にとって『正しいキャラクター』なのかが、わかる
というわけで、改めて、「感情」から書く脚本術
「感情」から書く脚本術【電子書籍】[ カール・イグレシアス ] |
電子書籍は試し読みができますので、お試しで読むにもってこい!
外国の書籍を翻訳しているので、読みづらい方もいるかもだし、最初から分厚い本を書くのが勇気がない方もいると思うので、近くの書店にない方は、電子書籍で試し読みしてみてください。
もし、読みやすい、わかりやすいと思ったら、お手元へ!
わたしは本当に勉強になりました!
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