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【WEB小説】『設定』はあるけど『キャラ』が出てこない問題を考える

WEB小説の書き方講座というものを少し前にさせていただいたのですね。

その際に小説を書いてみたいと言ってくれた10代の子からの質問で、

設定はできてるんですけど、キャラがいなくって……

世界観に相反するキャラを作ると、困難ができて、ストーリーが生まれると思います

模範解答みたいな答えですけど、これ、一言でいっちゃったんで、本当はもっと掘り下げるべきじゃなかったの?って。
Twitterでも、たまーに見かけるので、ちょっとわたしなりに深堀してみようかと。

というのも、わたしも今、それで悩んでるので……()
なので、どうすれば『世界観に似合うキャラが作れるのか、について考えていきたいと思います!
みなさんは、設定や世界観からでしょうか?
キャラが生まれて、そこへストーリーが生まれるタイプですか?

こんにちは、色吹です。猫が大好きな児童書です。
わたしは2017年に、本気で小説家になろうと思い、ド素人ながらWEB小説を書き始めました。
『小説家になろう』で書き始め、結果、3年後の、2020年、児童書で書籍化しています

ベランダの秘密基地 〜しゃべる猫と、家族のカタチ〜 [ 木村 色吹 ]

目次

「設定」と「キャラクター」

設定とキャラクターって、同時にできたり、それぞれ単体で浮かんできたりすると思います。
どっちが先でも後でも大丈夫。でも、どちらもないと、作品にはなりませんよね。

ただここでわたしが大事に思っているのは、読者さんは、世界観や設定をそんなに楽しみにはしていないってこと。

設定とは?

注意:世界観と同じ意味で使わせていただきます。

異世界ものでは、オリジナル感を出したくて、設定に凝る方も多いのでは?
わたしも、そうでした! やっぱりしっかりした土台があるからこそ、作品に個性が出ると思っていました。

でもね、不思議なもので、『世界観の作り方』って書籍、少ないと思いませんか?

Twitterに長く居座っている人間ですが、そういう本を見かけることは少なくって。
逆に多いのは、ストーリーやキャラクターに関する本だったりします。

なんとなくですけど、こういう本の量からいっても、世界観や設定よりも、キャラクターやストーリー構成のほうが重要なんじゃないかな。ってわたしは思うわけです。

で、脚本術の本を読んでも、舞台設定についてはそれほど大きく文字数が割かれていないんですね。
なぜかというと、キャラクターの人生が、舞台装置であり、設定、世界観だからです。

なので、わたしは、キャラクターの作り方を勉強するといいんじゃないかって思うんですよ!

キャラクターとは?

キャラクターづくりの勉強に参考にしたのは、2冊ありまして。
もちろん、脚本術の本にも書いてありますが、より深く解説され、わかりやすかったものをご紹介。

観客と読者を感情移入させる基本テクニックが丁寧に解説された本です

記憶に残るキャラクターの作り方/フィルムアート社

マンガ家になりたい人へ向けての本ですが、わたしが一番興味深かった箇所は、第3章 ジャンプ作家アンケート

描きたい‼︎を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方/集英社

本の解説 :記憶に残るキャラクターの作り方/フィルムアート社

この本では、『感情』を大事にしています。それは、キャラ、読者、どちらもです。
なので、葛藤や対立主人公の成長はもちろん、読み手の感情移入の理由などにも、詳しく解説がされています。

キャラを作る際には、相手の予備知識も大事で、外国の著書なので、
例えば『○○出身』と聞いたら、

・宗派
・会話のなまりがどんなものか
・牧歌的か、都会的か
・価値観は近代的か、昔よりか

……などを想像することが多いと書いてありました。

日本だと、北海道出身と聞いたら『おおらか』『のんびり』でしょうか。
なので、『道民キャラが、やたらとせっかちな理由』とかがストーリーに関わってくると、ぐっと惹きつけるキャラの個性になるのかな、と思います。

この本を読んで思ったのが、けっこう人って、いろんなくくりで見ていたりするってこと。

もちろん、先入観もあります。でも、それすらも利用するイメージです。
少し意識するだけで、キャラに厚みを作ることができる、と書いてありました。

よくマナーブックとかにもありますよね。「爪が伸びている人は、だらしなく見えるので切り揃えましょう」とか。
こういうのって、潜在意識ではなく、刷り込まれてきた常識みたいなものだと、言えると思います。
こういう部分もキャラクターをつくる際に生かせる、大事なポイントになるのだと、学べました。

さらに作品のキャラクターとして必要なのが、矛盾した特徴があること。
これが複雑性を作り、物語の起伏になる

矛盾した特徴は、『僕のヒーローアカデミア/堀越耕平』の、主人公・デクがそうかもしれません。
ヒーローの素質があり、努力家である一方、人を助けることを1番にしているために、自分自身を蔑ろにしていたり、自分の周りの大切な人たちを犠牲にしてしまったり、と、歪な部分があります。

[新品/あす楽]僕のヒーローアカデミア (1-33巻 最新刊) 全巻セット
※ヒロアカ、最終章に入りました! ストーリー構成、キャラクターのバックボーンの作り方が学べる作品なので、ぜひ、お手にとってほしい!

有名な映画の『レオン』であれば、残忍な殺し屋であるレオンが、女の子を守り、戦うストーリーですが、残忍な殺し屋がどうして彼女を助けようと思ったのか、の部分を掘り下げていくと、矛盾した特徴を探すことができると思います。

相反する行動をすることで、物語に起伏がうまれ、ストーリーができていくってことですね!

記憶に残るキャラクターの作り方/フィルムアート社 を読んで、わたしのキャラの作り方はぼんやりしてたなーと思いました。キャラが何を渇望し、なぜ行動を起こさなければならないのか。それはキャラのバックボーンを知らないと表現できないものばかりです。しっかりと、キャラクターの人生を描くことで、彼らの舞台、土台が整っていくことを学んだ1冊でした。

本の解説 :描きたい‼︎を信じる少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方

この本では、マンガの描き方の基本が書かれています

小説関係ないじゃん

と思われたかと思いますが、マンガも小説も『創作する』という分野においては同じですよですよー!!!

第1章にある、技術論の前に「描きたいもの」を育てる。とあるのですが、どうですか? みなさんは書きたいものを書けていますか?

どうかなぁ……今、流行ってるものばっか書いてるけど……
だって、少しでも読まれたいからね!

こんなふうに、読まれるためにあまり好きじゃないジャンルを描いている人もいるかもしれません。
もちろん、それは読者に沿った考え方なので、選択肢として間違っていません。大事な挑戦です!

ただ、この1章のラストにある言葉が結構重いと思うんです。

『漫画を描きたいのか』
『漫画家になりたいのか』

これって、みなさんどうですか?
本の中では、「後者だと辛いので、」と書いてありまして……
そうだよなーと。目的が違うだけで、これほどに重さが変わるのか。と思った言葉です。

ちなみに、わたしは後者の考えで小説を書いていました。かなりキツいですよね! 今思えば! はは!

やっぱり、書くことが好きなのが、作家の第一条件になると思います。
小説家になる、ということは、書くことを続けるということ、です。
自分が何を書きたいのか、何が好きなのかを、しっかり掘り下げる作業も必要だと本のなかに書かれています。

なので、上記で流行ってるものばっか書いているなら、自分の好きなものをプラスして欲しいな、って思います。
わたしは流行りが書けないので、今、いろんな作家さんたちに教えてもらいながら練習しています。
その練習は、流行りの設定に合わせて、自分が好きなシチュエーションやキャラクターを混ぜていくって感じですかね。
わたしは飽き性なので、好きなものがないと、間違いなくブチギレて書かなくなるのがわかっているので、少しでも好きなものを入れて、飽きないように工夫しています。。。

ぜひ、『好きなもの』がなんなのか、よーく考えてみて欲しいなって思います。

第3章 ジャンプ作家アンケート ここがすごい!!!!

描きたい‼︎を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方/集英社
⏫これ、実際、ほんとに読んで欲しいのですが、問5、問6、問7に、マーカーめっちゃ引いてます

マンガなのに? って思うかもしれませんが、小説でも大切にしなければならないポイントだと思います。
マンガはキャラクターが動いて進むものです。そして、小説もキャラクターが動いて進みます。

わたしも勘違いしていたことですが、現場の説明や、キャラクターの服装など、描くところはたくさんありますが、文字数があるだけで、物語は進んでいません。キャラクターが行動を起こして、始めて物語が進んでいます。

小説って、文字数だけでみると、進んだように見えること、ありませんか?
でも、1万文字あっても、全てが世界観の説明だけなら、その小説の物語はなにも始まっていないことを理解しておく必要があります……

どうしてその世界観にこのキャラが必要なのか?
そして、キャラの行動理由は、作者側の都合ではなく、キャラクターが動きたい理由が必要なんだ!

というのが、ヒシヒシと伝わってきます。

漫画家さんのキャラクターへの情熱が見える部分ですね。本当にリスペクトです!!!!

再び、設定だけが浮かんできた場合

ここまできましたが、キャラクターの作り方を学び終えて、からの、設定だけで、物語が生まれるのか?

生まれます!!!!!

じゃあ、ちょっとやってみましょうかね。
例えば、『猫のパン屋さん』という設定が浮かんだとします。
猫だけしかいない村で、猫が楽しく暮らしているという世界です。

でもそれだけじゃ、話になりません。ストーリーが生まれません。
猫がかわいくパンをこねてできあがりって見た目はかわいいですけど、物語にはしにくい……でも、かわいい!!!!

ここで、キャラクターの作り方を知っていると違います。

・猫の村の世界に相反するキャラ、『犬』や『人間』を出したら面白い?

・猫は夜行性だから、夜の街に捕食対象の『ねずみ』が、迷い込んだらどうなるかな?

・猫のパン屋さんの1日を描くにしても、この猫は勤勉な猫なのか、ぐうたら猫なのか?

なんてことが浮かんできたりします。
猫を主人公に絶対したい! ということであれば、パン屋の猫ちゃんと、八百屋の猫ちゃん、魚屋の猫ちゃんの違うところはなんだろう? と想像することもできます。

1本の線が引かれてあるだけで、その中で生活する人たちを想像していくと、主人公に向いているキャラが見つかりやすい!
キャラを作る上で、主人公は折ることのできない意思や矛盾がないといけない、などなど、確認すべき項目がたくさんあるので、よりキャラクターを深堀して考えていくことができると思います。

結論:1つの設定から物語を広げられるのは、キャラクターしかいないってこと!

設定から設定を重ねても、物語は生まれませんもんね……
でも、設定を練るのも楽しい時間です。

例えばですが、キャラよりも設定をこねくりまわしたい!
というなら、その設定のなかに、
・文化
・宗教

・政治
・生活習慣
・住民の思想

などなど、人が生活する上で必要なものを付け加えていくと、キャラクターが浮かびやすいかもしれません。

まとめ

設定も大事!!!
だけど、キャラクターに命を吹き込めるのは作家だけなので、キャラクターも愛して欲しいなと、思っちゃいます。

たしかに、設定がないとキャラクターも生きていけません。キャラが生かされもしません。
でも、物語は描けません

『小説は物語を読むもの』。これは忘れちゃいけないなって、わたしはいつも言い聞かせています。

あわせて、設定のなかで、小説として表現したいものが何か』が重要なところですが、それはまた次回で!

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この記事を書いた人

作家名:木村 色吹(きむら いぶき)2017年から小説家になろうと決意し、WEB小説を書き始める。2020年、10万文字作品3作品目で、書籍化。タイトル『ベランダの秘密基地〜しゃべる猫と、家族のカタチ〜』児童書として、KADOKAWAさまより出版

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